大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(あ)3057 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人等の上告趣意第一点について

憲法二一条に規定された言論その他一切の表現の自由といえども、国民の無制約

な恣意のままに許されるものではなく、常に公共の福祉によつて調整されなければ

ならず、その表現の方法にして公安を害する限り、それは憲法の保障する自由の限

界を逸脱したものであり、これを犯罪として処罰し得ること(当裁判所昭和二三年

(れ)第一三〇八号同二四年五月一八日大法廷判決)、また、憲法二八条は、使用

者対被使用者というような関係に立つ勤労者でない、単なる個人の集合に過ぎない

ものに対してまで、団結権ないし団体行動権を保障したものでないこと(同昭和二

二年(れ)第三一九号同二四年五月一八日大法廷判決)は、いずれも当裁判所の判

例とするところである。ところで、原判決の認定判示する事実関係によれば、被告

人等の所為が右判例にいう如き憲法に保障された場合であるとは到底認めることが

できないから、これら憲法の諸規定を根拠として、被告人等の所為を正当化するこ

とはできない。論旨は理由がない。

同第二点について

憲法二八条及び二一条の法意にして前記の如くである以上これら諸規定の保障す

る自由の限界を逸脱するが如き不法の所為を処罰することは何等憲法に違反するも

のでないことは前記説示のとおりである。原判決の認定判示するところによれば、

被告人等の当初の図が所論の如きものであつたにせよ、その現実の行動は、多衆を

語らい、税務署に押しかけ、署長の制止も聴かす、その再三の退去の要求にも応ぜ

ず、多衆の威力を示して器物を損壊し、係員等を脅迫したというのであるから、刑

事上の責任を負うべきは当然である。かかる被告人等の所為につきその刑責を免れ

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しめる何等の理由もない。論旨は採用できない。

同第三点及び第五点について

論旨は、憲法違反の語を用いた部分もあるが、帰するところは事実誤認の主張で、

いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第四点について

原判決によれば、被告人等は、税務署長から再三の退去の要求を受けたに拘わら

ず、これに応じなかつたというのであつて、所論の如く、署長が退去の要求を任意

に撤回したと認むべき事情は、記録上到底認めることができない。この点につき判

示した原審の判断は、総て首肯するに足りる。論旨は従つて採用できない。

同第六点について

以上第一点ないし第五点の論旨に対し説示したところに徴し、本論旨の採用し得

ないことは明白である。その他記録を調べても、刑訴四一一条を適用して原判決を

破棄するに足る事由を認めることはできない。

よつて同四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

昭和二七年一二月二六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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